汗牛未充棟

読んだ本の感想などを中心に投稿します。Amazonリンクはアフィリエイトの設定がされています。ご承知おきください。

2019-01-01から1年間の記事一覧

十二国記シリーズ 再読感想まとめ【part 2】

miniwiz07.hatenablog.com ⑤『丕緒の鳥』 丕緒の鳥 (ひしょのとり) 十二国記 5 (新潮文庫) 作者: 小野不由美,山田章博 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2013/06/26 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (82件) を見る 十二国記シリーズの短編集。「yom yom…

聖杯戦争”後”の世界を描くFateスピンオフの最新作!――星空めてお『Fate/Requiem 1 星巡る少年』

<2020/5/25 19:55 追記> ただいま本編全てを無料公開中とのこと。要チェックです! web-ace.jp 2018年末にTYPE-MOON BOOKSより発売された、fateシリーズの新たなスピンオフ作品。アプリゲーム「Fate/GrandOrder」にもシナリオライターとして参加する星空めて…

超常たちの激突、その前日譚――珪素『異修羅Ⅰ 新魔王戦争』

その世界にはかつて”本物の魔王”が君臨していた。人族だけでなく獣族や竜族までをも恐怖で支配した魔王であったが、ある時ついに「勇者」によって倒される。 しかし魔王を討ち果たした勇者とはいったい誰なのか、それを知るものはいなかった。そこで人族最後…

十二国記シリーズ 再読感想まとめ【part 1】

この秋に十八年ぶりの新刊の発売を控えた十二国記シリーズ。それに備えて、過去作を振り返ってみた。 中学生の頃、たびたび叔父に読み終わった本を送ってもらっていた。一回に送られてくる量は段ボール二つほどだったと思うが、そのなかに小野不由美の十二国…

2019.9 読了本まとめ

9.24 小野不由美『図南の翼 十二国記』講談社X文庫ホワイトハート 十二国記シリーズ 再読感想まとめ【part 2】 - 汗牛未充棟 9.23 星空めてお『Fate/Requiem 1 星巡る少年』TYPE-MOON BOOKS 聖杯戦争”後”の世界を描くFateスピンオフの最新作!――星空めてお『…

2019.8 読了本まとめ

8月は9冊読むことができた。お盆の期間にブーストをかけられたということもあるが、順調なペースだ。今後も毎月10冊前後のペースを維持したい。 今月は『三体』に『なめらかな世界と、その敵』と、早川書房のビッグタイトルが並び立ち、界隈がかなり賑わった…

ステータスオールAみたいなやばいやつ――伴名練『なめらかな世界と、その敵』

劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』はもう皆さん観たでしょうか。ワンピース初のオールスター映画ということで、各勢力から様々なキャラクターが登場し、たいへん素晴らしいお祭り映画となっていました。特に終盤でルフィとともに、同じルーキーのトラファルガー…

著者100冊目の記念作、探偵一家の物語!――西尾維新『ヴェールドマン仮説』

ヴェールドマン仮説 作者: 西尾維新 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/07/31 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 西尾維新の記念すべき100冊目の作品。正確には講談社から刊行された作品のうち、ノベライズとトリビュート作品を除いたオリジ…

2019.7 読了本まとめ

長かった梅雨が明け、ようやく夏が始まった。各地でビアガーデンなども始まり、飲み会が多くなる季節だろう。しかし、私は職場の飲み会というのがどうも好きになれない。去年も、勤め先での慰労会に「飲み会苦手なので……」みたいな感じで断ったら、のちのち…

"江戸版シュピーゲル"って本当?――冲方丁『剣樹抄』

文藝春秋春秋の「オール読物」で連載中の冲方丁『剣樹抄』が遂に単行本として発売されました! 剣樹抄 作者: 冲方丁 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2019/07/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 2017年に冲方丁の傑作「シュピーゲルシリー…

2019.6 読了本まとめ

一年ほど前、行きつけの喫茶店を開拓しようと思い立った。 善光寺のほど近くにあるそのお店は、古民家を改装した造りになっていて、1階は古本屋、2階は喫茶店として営業していた。喫茶店スペースは民家のダイニングとほとんど変わらないような空間で、デザイ…

【随時更新】「ハヤカワ文庫の百合SFフェア」 新刊全レビュー‼

【1】 SFマガジン編集部編『アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー』 アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー (ハヤカワ文庫JA) 作者: S‐Fマガジン編集部 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2019/06/20 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 20…

ようやく「ガールズ&パンツァー」にハマりました。

最近、ようやくガルパンこと『ガールズ&パンツァー』にはまりました。 劇場版公開時「ガルパンはいいぞ!」という決まり文句は幾度となくTwitterで見かけたけれど、「評判いいからそのうち見よう」と思ったまま結局見ることなくはや数年。最終章第2話が公開…

事件簿シリーズ遂に完結‼――『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿10「case.5 冠位決議(下)」』

ロード・エルメロイII世の事件簿10 case.冠位決議(下)【書籍】 出版社/メーカー: TYPE-MOONBOOKS 発売日: 2019/05/17 メディア: CD-ROM この商品を含むブログを見る 2019年5月、『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 case.5 冠位決議 (下)』がめでたく発売され、…

2019.5 読了本まとめ

今月から1ヶ月に読んだ本をまとめていこう、と思ったら5月は3冊しか読んでいなかった。3冊って…。 まあ、少年ジャンプのバックナンバーを公式アプリで買い漁って最新号に追い付いたり、『蒼穹のファフナー』シリーズを全部見て最新作を見に行ったりと、小説…

死者が生者の道になる――蒼穹のファフナーシリーズ(前編)

5月20日月曜日、職場の振り替え休日を利用して、県外の映画館まで「蒼穹のファフナー THE BEOND」1~3話の劇場先行公開を見てきた。高速道路を利用して片道2時間半という結構な移動だったが、そこまでして観る意味は確かにあった。 私が特に感動したの…

大学生・阿良々木暦 第3弾――西尾維新『余物語』

余物語 (講談社BOX) 作者: 西尾維新,VOFAN 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/04/17 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る ■イントロ <物語>シリーズ25作目にして、阿良々木暦の大学生活を描くモンスターシーズンの第3弾。今回…

反撃開始、遂にバロットが動き出す――冲方丁『マルドゥック・アノニマス 4』

マルドゥック・アノニマス4 (ハヤカワ文庫JA) 作者: 冲方丁,寺田克也 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2019/03/20 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 「共感」の力を用い、裏社会で着々と勢力を拡げるハンター率いる「クインテット」。彼らに対…

シリーズの過去と未来を照らし出す傑作ーー森博嗣『χの悲劇』『ψの悲劇』

森博嗣による「Gシリーズ」はこれまで愛知県のC大学に通う加部谷、山吹、海月、雨宮ら学生たち、そして院生から晴れて准教授となった西之園を中心に物語が展開してきた。しかし『χの悲劇』から始まるGシリーズ後期三部作はその様相を異にする。登場人物表…

探偵たちの物語――森博嗣「Xシリーズ」part 2

※若干のネタバレ注意※ 森博嗣の探偵小説「Xシリーズ」。不在がちな店主に変わって「SYアート&リサーチ」を切り盛りする小川令子、「SYアート&リサーチ」に入り浸る芸大生の真鍋瞬一、彼らを中心に少しレトロな雰囲気で展開する、2007年にノベルスで第…

殺し屋女子高生 VS. 復讐の鉄槌――藤原恒介『デストロ246 ハンマーレイジ』

デストロ246 ハンマーレイジ (サンデーGXコミックススペシャル) 作者: 藤原恒介,高橋慶太郎 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2019/02/19 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ◼イントロ 本書は高橋慶多郎による漫画『デストロ246』のノベライズで…

阿良々木暦VS.西尾作品ヒロインズ――西尾維新『混物語』

混物語 (講談社BOX) 作者: 西尾維新,渡辺明夫 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/02/06 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 西尾維新による〈物語〉シリーズの番外編。本作は、劇場版『傷物語 鉄血編』から『冷血編』までの来…

後半戦突入!――森博嗣「Gシリーズ」 part 3

Gシリーズは7作目から後半戦へと突入。7~9作目のギリシャ文字が「α」「β」「γ」と始めの3文字で、10~12作目が「χ」「ψ」「ω」と終わりの3文字となっているのは偶然ではないだろう。 前半では事件が起きる間隔はとても短いものだったが、後半からは「α」と…

探偵たちの物語――森博嗣「Xシリーズ」 part 1

Gシリーズが続くなか、並行して開始されたのがこのXシリーズだ。この展開は計画通りのものだと公式サイトで著者も述べている。*1 Gシリーズの6作目『η』と7作目『α』の間で作中の時間がかなり跳ぶのだが、その間に刊行された『イナイ×イナイ』『キラレ×キ…

競馬にルーレット、チンチロリンから囲碁までも――『宮内悠介リクエスト!博奕のアンソロジー』

宮内悠介リクエスト! 博奕のアンソロジー 作者: 宮内悠介,冲方丁,法月綸太郎,山田正紀,梓崎優,星野智幸,桜庭一樹,軒上泊,藤井太洋,日高トモキチ 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2019/01/22 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る …

ε λ η ――森博嗣「Gシリーズ」part 2

森博嗣のGシリーズ。4~6作目は、『εに誓って』『λに歯がない』『ηなのに夢のよう』。この辺りから新キャラクターや他シリーズのキャラクターも登場し、盛り上がりを増していく。3作目『τになるまで待って』までで、Gシリーズのレギュラーキャラクター(加部…

φ θ τ ――森博嗣 「Gシリーズ 」part 1

『χの悲劇』を読むためにGシリーズを読み返そうと思ってもはや三ヵ月。ようやく第1作目の『φは壊れたね』を手に取ることができたのだが、読み始めてからは早かった。ストーリーとキャラクターが魅力的で、ページをめくる手が止まらないというのももちろんだ…

森博嗣ワールドのジャンクション――『四季』シリーズ

重大なネタバレを踏む前にいい加減『χの悲劇』を読もう。しかしそのためにはGシリーズを最初から、いやそれ以前に遡って読み直さなければ。――そう思って先日『すべてがFになる』と『有限と微小のパン』を読み、そして『四季』シリーズ全4冊も読破した。つ…