汗牛未充棟

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森博嗣

森博嗣「リアルの私はどこにいる?」――ヴァーチャルへログイン中に消失したリアルの肉体の行方は。未来を演算するWWシリーズ第6弾!

前:森博嗣『君たちは絶滅危惧種なのか?』――動物園から消えた動物の正体は?未来を演算するWWシリーズ第5弾! - 汗牛未充棟 リアルの私はどこにいる? Where Am I on the Real Side? (講談社タイガ) 作者:森博嗣 講談社 Amazon 今で…

森博嗣『君たちは絶滅危惧種なのか?』――動物園から消えた動物の正体は?未来を演算するWWシリーズ第5弾!

君たちは絶滅危惧種なのか? Are You Endangered Species? (講談社タイガ) 作者:森 博嗣 講談社 Amazon 科学の発展によって不老・長寿命を得た代わりに、生殖能力を失った人間。人工的につくられた人間・ウォーカロン。そして人工知能が共存する未来の社会を…

森博嗣『歌の終わりは海 Song End Sea』――終わりを自ら決めることは、幸せなのだろうか

歌の終わりは海 Song End Sea (講談社ノベルス) 作者:森博嗣 講談社 Amazon 探偵業を営む小川のもとに浮気調査の依頼が舞い込む。調査対象は高名な作詞家である大日向慎太郎。彼の邸宅の敷地には実姉が暮らす離れが建っており、「姉が恋人」とも噂…

森ミスの原点たる事件、その再演――森博嗣『キャサリンはどのように子供を産んだのか?』

科学の発展によって不老不死を得た代わりに生殖能力を失った人類と、人間によって造られた”ウォーカロン"(いわゆるアンドロイド)、そして人工知能が共存する近未来世界を描いたWシリーズ。その続編となるWWシリーズ第三作が本書『キャサリンはどのように子供…

仮想世界を管理する人工知能が”神”となったとき、そこに”人間”は必要なのか――森博嗣『神はいつ問われるのか?』

科学の発展により寿命を克服し不老不死を得た代わりに生殖能力を失った人類と、人間によって造られた人型"ウォーカロン"(いわゆる人造人間)、そして人工知能が共存する近未来世界を描いたWシリーズ。その続編となるWWシリーズ第2作が本書『神はいつ問われる…

2019.6 読了本まとめ

一年ほど前、行きつけの喫茶店を開拓しようと思い立った。 善光寺のほど近くにあるそのお店は、古民家を改装した造りになっていて、1階は古本屋、2階は喫茶店として営業していた。喫茶店スペースは民家のダイニングとほとんど変わらないような空間で、デザイ…

シリーズの過去と未来を照らし出す傑作ーー森博嗣『χの悲劇』『ψの悲劇』

森博嗣による「Gシリーズ」はこれまで愛知県のC大学に通う加部谷、山吹、海月、雨宮ら学生たち、そして院生から晴れて准教授となった西之園を中心に物語が展開してきた。しかし『χの悲劇』から始まるGシリーズ後期三部作はその様相を異にする。登場人物表…

探偵たちの物語――森博嗣「Xシリーズ」part 2

※若干のネタバレ注意※ 森博嗣の探偵小説「Xシリーズ」。不在がちな店主に変わって「SYアート&リサーチ」を切り盛りする小川令子、「SYアート&リサーチ」に入り浸る芸大生の真鍋瞬一、彼らを中心に少しレトロな雰囲気で展開する、2007年にノベルスで第…

後半戦突入!――森博嗣「Gシリーズ」 part 3

Gシリーズは7作目から後半戦へと突入。7~9作目のギリシャ文字が「α」「β」「γ」と始めの3文字で、10~12作目が「χ」「ψ」「ω」と終わりの3文字となっているのは偶然ではないだろう。 前半では事件が起きる間隔はとても短いものだったが、後半からは「α」と…

探偵たちの物語――森博嗣「Xシリーズ」 part 1

Gシリーズが続くなか、並行して開始されたのがこのXシリーズだ。この展開は計画通りのものだと公式サイトで著者も述べている。*1 Gシリーズの6作目『η』と7作目『α』の間で作中の時間がかなり跳ぶのだが、その間に刊行された『イナイ×イナイ』『キラレ×キ…

ε λ η ――森博嗣「Gシリーズ」part 2

森博嗣のGシリーズ。4~6作目は、『εに誓って』『λに歯がない』『ηなのに夢のよう』。この辺りから新キャラクターや他シリーズのキャラクターも登場し、盛り上がりを増していく。3作目『τになるまで待って』までで、Gシリーズのレギュラーキャラクター(加部…

φ θ τ ――森博嗣 「Gシリーズ 」part 1

『χの悲劇』を読むためにGシリーズを読み返そうと思ってもはや三ヵ月。ようやく第1作目の『φは壊れたね』を手に取ることができたのだが、読み始めてからは早かった。ストーリーとキャラクターが魅力的で、ページをめくる手が止まらないというのももちろんだ…

森博嗣ワールドのジャンクション――『四季』シリーズ

重大なネタバレを踏む前にいい加減『χの悲劇』を読もう。しかしそのためにはGシリーズを最初から、いやそれ以前に遡って読み直さなければ。――そう思って先日『すべてがFになる』と『有限と微小のパン』を読み、そして『四季』シリーズ全4冊も読破した。つ…

S&Mシリーズ最終章!巨大テーマパークを舞台に”天才”が再び姿を現す――森博嗣『有限と微小のパン』

有限と微小のパン (講談社文庫)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 講談社発売日: 2001/11/15メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 37回この商品を含むブログ (181件) を見る しばらく積んでいた森博嗣のGシリーズを読みだす前に、真賀田四季の足跡を改めて読み直…