呪術廻戦ノベライズ第2弾!伊地知回もあります!――北國ばらっど『呪術廻戦 夜明けのいばら道』
現在週刊少年ジャンプで連載中の芥見下々『呪術廻戦』、そのノベライズ第2弾となります。
今回も作中にキャラクターや世界観の説明がなく、完全に原作読者向けとなっています。また、作中に本編最新刊のネタバレがあるため、同時発売の8・9巻を読了後にこの小説版を読むことを推奨します。
『呪術廻戦 夜明けのいばら道』は短編5編が収録されており、時系列は主に京都校との交流戦以後となっています。第1弾の発売時からキャラクターが増えたこともあって、外伝としての自由度も上がったのか、サブキャラの掘り下げやオリジナルの呪霊・呪詛師との戦闘も盛りだくさんでオススメです。
「原作は好きだけど、小説版はどうしよう……」と迷っている人は、この2作目から読んでみるのもいいのではないでしょうか。
以下、一編ずつ紹介します。
・野薔薇と棘
帯の煽り文句にある通り、釘崎野薔薇が芸能のスカウトを受けるストーリーです。ヒロインがスカウトされて……、というのは外伝作品ではありがちな展開かなとも思いますが、茶番抜きで素早くストーリーが展開するのでご安心を。タイトルにある通り、釘崎と狗巻という珍しいコンビでの共闘が見れます。
・此処に在らずとも
京都は比叡山の一画で毒ガスが滞留し、それを隠れ蓑にして呪詛師が潜伏していることが発覚。傀儡を操作しているため、毒ガスの影響を受けないメカ丸が単身で調査・制圧に赴きます。
本編ではなかなか見れない京都校サイドのストーリーとなります。原作9巻までのネタバレはありますが、10巻発売までにこの短編を読んでおくと、10巻の内容がさらに効いてくると思われます。
あとやっぱり野球回での件、気にしてたじゃないですか、庵先生!
・浅草橋哀歌
まさかの伊地知さんメインの短編第2弾!1作目「逝く夏と還る秋」から連続登板があるとしたら七海さんだと思っていたので驚きました。内容は伊地知さんと家入先生、そして五条悟の三人での飲み会。想像するだけで胃が痛いですが果たして。意外な人物もちょっぴり登場します。
しかし伊地知さんの厚遇っぷりと、やたら具体的な仕事の描写を見るに、著者の北國先生は事務畑の方なのかもしれません。
・幽往邁進
京都校の三人娘、とりわけ禪院真依にスポットを当てたストーリー。かつて真依が姉にしていたように自分に対して無邪気な信頼を寄せる”窓”の少女を通して、真依が自分と向き合うことになります。
余談ですがこの短編を読むまで真依が三年生で、三輪と西宮は真依の後輩だと思ってました。真希と双子の真依が三年生のわけがないのですが……。
・散歩道の後に
時系列は交流戦後、八十八橋の事件の前。虎杖、伏黒、釘崎の休日が描かれます。原作8巻収録の63話「共感」でも描かれていましたが、三人が三人ともちゃんと気遣いのできる人たちで、そんな彼らのつくる空気感がいいですね。
原作での幕間のストーリーもとても好きなので、原作でも彼ら三人の休日を読んでみたいです。