――野﨑まど『2 新装版』
『[映]アムリタ』から『2』まで読んでください。
死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~ 新装版 (メディアワークス文庫)
- 作者: 野崎まど
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2019/10/25
- メディア: 文庫
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〈さすがに、追記〉
『パーフェクトフレンド』から続いて読んだので、「才能に打ちのめされる」という描写が印象に残っています。さなかに圧倒された理桜は「でも友達いないでしょ」と指摘することで優位を保ちましたが、パンドラの劇を見た新入団員たちは、バキバキに心を折られてしまいます。
自分がどれだけ努力をしても絶対に追いつけない高みで創作をしている人たちがいる。それなのに自分が創作することに意味があるのだろうか。その疑問にパンドラの座付き作家・御島鋳は答えます。
「創るのをやめるより辛いことなんて、この世にはないの」(p.85)
美しい回答ですが、それだけに後の展開に効いていきます。パンドラの崩壊を描いた100頁を越える序章は、およそ完璧な導入でした。
そうして再び最原最早による映画撮影が始まります。最原最早が絵コンテ、監督を務める自主製作映画の撮影という点では『[映]アムリタ』と同じですが、過去作品の登場人物を巻き込んで、その規模は大きなものへとなっていきます。『[映]アムリタ』以降の作品はそれぞれ独立した一つの作品となっていますが、野﨑まどはどの時点から『2』の構想をもっていたのでしょうか。
そうして映画が完成します。終盤で物語が二転三転するのはこのシリーズの恒例ですが、それにしても今回はスケール大きかったですね。これまでも「この世で一番面白い小説」や「友達の作り方」といった答えのでないような命題を扱ってきましたが、「創作の究極点」「人類はどこから来て、どこへ行くのか」といった命題は集大成にふさわしいものだったと思います。