ひとり荒野をさまようシノン、キリトたちと合流なるか――川原礫『ソードアート・オンライン23 ユナイタル・リングⅡ』
様々なＶＲＭＭＯゲームを舞台に主人公・キリトや仲間たちの活躍を描く人気シリーズＳＡＯ(ソードアート・オンライン)の最新作。今回の舞台となる≪ユナイタル・リング≫は、≪ザ・シード≫という共通の規格でつくられた数々のＶＲＭＭＯゲームが融合して誕生したサバイバルゲーム。レベル１の状態で強制的にコンバートされたプレイヤーたちは、一度死んだら二度とログインできないという条件のなか「極光の指し示す地」を目指してサバイバルに挑む。
前回、ゲーム世界の融合に伴って半壊してしまったプレイヤーホームを、何とか修復したキリトたち。2巻では別のポイントからスタートしたシノンとの合流を図るが……。
〈あらすじ〉
ユナイタル・リングへと強制コンバートされ、何とかプレイヤーホームを修復した翌日、帰還者学校に通うキリトの前に現れたのは、旧ＳＡＯ時代に情報屋として活動し攻略本ほ発行してプレイヤーを支援していたアルゴだった。どうやらアルゴもゲームの外側からユナイタル・リングについて調査しているらしい。
・このサブヒロインたちに脚光を
これまでのＳＡＯシリーズではアスナ、リーファ、シノン、アリスと長編ごとに新たなヒロインが登場しましたが、今回ユナイタル・リング編では今までの仲間たちとともに攻略が進みます。そのぶん今までなかなかスポットの当たらなかったキャラクターが掘り下げられているように思いました。
サブヒロインと言ってしまっては失礼かもしれませんが、MORE DEBAN組、なかでもシリカについては特にそう思います。今までは可愛いというだけのマスコットキャラクターのように感じていましたが、このユナイタル・リングのストーリーで、大事なことは譲らない芯の強さや、ＰＫのドロップアイテムを遠慮なく使う抜け目なさなどが描かれて、ようやくシリカがどういう人なのか分かった気がします。
またこの巻の裏表紙にはかわいいちびっこ怪獣が描かれていますが、今までナビゲートピクシーとしてサポートに徹していたユイもプレイヤーキャラクターとして一緒に冒険ができるようになりました。トップダウン型ＡＩのユイがボトムアップ型ＡＩのアリスに稽古してもらう場面もありましたが、ＡＩがどう成長していくのかも楽しみです。
以下、今作のネタバレ要素を含みます。
・拠点防衛
この2巻でいつもの仲間たちが合流し、当面の目標も決まりました。それはプレイヤーホームのまわりに街を作ること。そこまで規模を大きくしてしまえば、ＰＫにも狙われにくくなるだろうという判断です。
ユナイタル・リングの最終目標は「極光の指し示す地」にたどり着くことですが、こうなってくるとその目的地は冒険してたどり着くものではなく、自分たちで作り上げるものなのかもしれません。クラフト要素も大変充実しているようですし。
また、ＮＰＣ種族と会話できるようになる○○語スキルが種族ごとに存在していたり、そもそも「統一」がテーマになっていることから、達成条件は一つの街にすべてのＮＰＣ種族を集めるといったようなことではないでしょうか。この予想けっこう自信があるのですがいかがでしょうか。
とはいえ、ユナイタル・リングの世界はまだまだ広大そうなので、冒険も楽しみにしています。
