汗牛未充棟

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サスペンス

マルカ・オールダー/フラン・ワイルド/ジャクリーン・コヤナギ/カーティス・C・チェン『九段下駅 或いはナインス・ステップ・ステーション』――刑事と軍人の女性バディが分断された東京で怪事件に挑む、ドラマ仕立てのSF刑事サスペンス!

近未来の東京を舞台にしたSF×刑事サスペンスである『九段下駅 或いはナインス・ステップ・ステーション』は、ドラマシリーズ仕立ての小説となっている。というのも、本作は10のエピソードからなる連作短編の形式をとっており、日本人の刑事とアメリカ人の軍…

梧桐彰『その色の帽子を取れ-Hackers' Ulster Cycle-』&竹田人造『人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル』――【レビュー】”現在”を描いた二つのSFから見る技術(者)と倫理

昨年11月に出版された二つのSF作品。両者に関連はありませんが、どちらも現在の技術、もしくはその延長線上のごく近いところにある技術を扱ったSFサスペンスという点で、共通しています。さらに、物語の軸として、二人の男性の関係性の変化を描いている点で…

冲方丁『アクティベイター』――圧倒的濃度の逃走・格闘・陰謀!500頁超のノンストップ・サスペンス!【レビュー】

突如として日本の領空に現れ、羽田空港に着陸した中国のステルス爆撃機。搭乗していた女性パイロットは日本への亡命を希望するが、その爆撃機にはとある”積荷”が載せられていた。 パイロットの身柄を巡る熾烈な格闘・逃亡劇と、事件の背後にある陰謀を暴くポ…

世界を舞台に正崎は、曲瀬は、何を為せるのか――野﨑まど『バビロンⅢー終ー』

タイトルに「終」って入っていたら普通完結すると思うじゃないですか!?そういうつもりで読んでいたのでラストに驚きました。 確かに、どこにも完結とは書かれてないな……。 バビロン 3 ―終― (講談社タイガ) 作者:野崎 まど 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2…

選挙の不正と不審な自殺の謎を追え!絶望の政治サスペンス――野﨑まど『バビロンⅠ―女―』

2019年の秋クールでアニメも放送している野﨑まどの『バビロン』。アニメ放送前に原作を読んで、「へぇ、バビロンアニメ化したんだ。なかなか挑戦的だね」とかなんとか言おうとしたのですが、そんな町田さわ子的読書にも失敗し、今になってようやく読むこと…