汗牛未充棟

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『人類最強のsweetheart』西尾維新――占い師・姫菜幻姫の予知を覆せ!《最強》シリーズ最終巻!

 西尾維新のデビュー作である『クビキリサイクル』から始まる《戯言》シリーズ。その《戯言》シリーズのスピンオフ作品にして、”人類最強の請負人”こと哀川潤が主人公の《最強》シリーズも本作で4巻目となりました。帯には「シリーズ完結」と謳われていますがはたして......。

 

人類最強のsweetheart (講談社ノベルス)

人類最強のsweetheart (講談社ノベルス)

 

 

 手に取ってみれば一目瞭然ですが、今回はページ数が120前後と非常に薄い感じになっております。これは中編が1本収録されているだけかな、と思って目次を見ると、タイトルがずらり。短編、短々編が合計で6編収録された短編集となっています。

 

 なかでも注目は、姫菜幻姫が登場する表題作、「人類最強のsweetheart」でしょうか。姫菜幻姫の母親は『クビキリサイクル』に登場した姫菜真姫。事件が起きる前からすべての真実を見透かし、なおかつ沈黙を貫いた天才占星術師です。その後姫菜真姫は自分自身の死に様を予言し、事実その通りに命を落としました。(西東天の介入でその死期は早まりましたが。)

 そんな彼女の子供である姫菜幻姫の依頼は、母と同じように自分自身の命日を予知したため、それを回避させてほしいというものでした。

 

 解決方法については、なんというか短々編並み、といった感じでしたが、やはり西尾作品の魅力といえばキャラクターでしょう。姫菜幻姫についても、あの姫菜真姫を母親に持つからこそのコンプレックスや葛藤が魅力的なキャラクターでした。

 また、姫菜真姫は《戯言》シリーズにおいて、戯言遣い哀川潤が介入する余地もなく、あっさりと退場してしまったため、今回のエピソードはそのときのリベンジマッチといった趣もあり、面白かったです。

 

 他にも、「人類最強のlove song」には零崎曲識を慕い、彼が遺した楽譜の解読を試みる少女、時宮時針が登場します。時宮とはもちろん、呪い名序列第一位、『時宮病院』の時宮です。《戯言》シリーズも《人間》シリーズもずいぶんと前に完結しましたが、こうして彼らの世界が今も続いていると感じられるのは、一読者としても嬉しい限りです。

 

 そんな《最強》シリーズも今回で完結とのこと。最終話の「人類最強のPLATONIC」は、これまでこのシリーズで宇宙人や深海生物や植物など、様々なものを相手取ってきた哀川潤にふさわしいエピソードでした。さすがは作品の締め方にこだわりのある西尾維新といったところでしょうか。

 

 と思ったのですが、おや、最終ページのこれは……?

 

miniwiz07.hatenablog.com

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